ミュオンセクションの髭本氏が2024年度 日本中間子科学会 学会賞を受賞
髭本氏は長きに渡り、ミュオンスピン回転・緩和(µSR)法を用いて重い電子系超伝導体などを対象とした物質研究を推進してきました。さらに、極低温や高圧下などにおけるµSR実験法に関する研究開発にも取り組んでいます。今回の受賞対象となった超伝導の発現と磁性の相関に関する研究や時間反転対称性が破れた超伝導状態の検証などのように、磁気に対して高い感度を有するµSR法の特色を活かした髭本氏の研究は、今後も様々な物性の発現機構を解明していくために重要な役割を果たすものと期待されます。
◇◆◇ 受賞のコメント ◇◆◇
この度「μSR法による重い電子系超伝導体の磁性と超伝導に関する研究」という題目で日本中間子科学会学会賞を頂き、大変光栄に感じております。研究を共に進めてくださった皆様、実験施設の運転と整備に尽力いただいた皆様、日頃ご支援をいただいている皆様に深くお礼申し上げます。
本研究は磁性に対して極めて感度が高いというミュオンスピン緩和法の利点を最大限に活かし、電子相関の強い系、特に重い電子系物質の良質単結晶試料において超伝導相内で微弱な磁性の発現及び超伝導磁場侵入長の発散的増大を実験的に見出しており、これは超伝導に埋もれた量子臨界点の存在や超伝導と磁性の結びつきを強く示唆するものです。その結果と共に、研究に重要な機器整備なども含めて評価をいただけたことを大変喜ばしく感じております。
今回の受賞を励みに研究と開発により精進していく所存です。引き続きのご支援を賜りますようお願い申し上げます。