J-PARC News 第171号
≪お知らせ≫
■J-PARC施設公開2019(8月25日(日))
8月25日(日)にJ-PARC施設公開を実施します。J-PARC講演会、素粒子サロン、展示・実演・工作、プレゼントがもらえるスタンプラリーなど、楽しいイベントが盛りだくさんです。普段は入れない加速器のトンネルが見学できます。J-PARCセンタースタッフ一同、皆様のお越しをお待ちしております。(入場無料・雨天決行)
・受付場所:日本原子力研究開発機構(JAEA)本部駐車場(東海駅東口から徒歩5分) ※一般車駐車可
・時
間:9:30~16:30 (受付9:00~15:30)
・注
意:中学生以上の方は身分を証明するものを必ずご持参ください。
(例:運転免許証、パスポート、学生証等)
詳細はJ-PARCホームページをご覧ください。 http://j-parc.jp/c/events/2019/06/24000282.html
■令和元年第2回MLF全体会議開催(7月10日、IQBRC)
今年度2回目となるMLF(物質・生命科学実験施設)全体会議を7月10日に、いばらき量子ビーム研究センター(IQBRC)で開催しました。今年から年4回の頻度で開催し、J-PARC、総合科学研究機構(CROSS)、茨城県ビームライン(茨城大学)のMLFに関わる研究者らが一堂に会し、相互の現状を紹介し理解を深め、課題解決の促進を目的とします。会議は、ディビジョン長からMLFの現状、産学連携利用推進の進め方、MLFの理想的運営体制検討会の現状などについて、各リーダーからはそれぞれのセクションの計画と今後の課題と題した報告が行われ、CROSS、茨城県ビームラインの担当者からは、各組織の活動報告などがありました。また、各セクション、CROSSへ配属となった新人から研究経歴などの自己紹介があり、和やかに交流が図られました。
■第28回J-PARC PAC開催(7月16~18日、J-PARC)
7月16日から3日間、大強度陽子加速器における原子核素粒子共同利用実験プログラム審査委員会(J-PARC PAC)を、カリフォルニア大学バークレー校のKam-Biu Luk教授を新たに委員に加えてJ-PARC研究棟で開催しました。冒頭、齊藤直人センター長から開催挨拶とJ-PARCの現状報告、加速器ディビジョンの内藤富士雄副ディビジョン長からJ-PARC加速器の現状と今後の運転計画について報告があり、また、KEK素粒子原子核研究所の徳宿克夫所長から委員会へ提案された実験課題の審議要請がありました。その後、現在J-PARCのハドロン実験施設とニュートリノ実験施設で実施している実験に関した各担当者からの報告とともに、課題提案の採否の審査が行われ、最終日にはハドロン実験ホールの見学が行われました。
■J-PARC MLF産業利用報告会(7月18~19日、東京・秋葉原コンベンションホール)
J-PARCセンターは、7月18、19日の両日、今年で4回目となるMLF産業利用報告会を、企業・大学・研究機関などから多数の参加者のもと開催しました。会議では初日にMLF(JAEA&KEK)、茨城県、総合科学研究機構(CROSS)の産業利用活性化のために、これら組織による新たなJ-PARC JOIN構想を立ち上げ、産業界の意向を吸い上げ、情報共有などを図る取り組みとその協力関係などを紹介しました。また、新たなプローブとして最近産業界からも注目を浴びているミュオンについて物質・生命科学ディビジョンの三宅康博副ディビジョン長が「ミュオンによる産業利用の可能性」と題して講演し、ユーザーの方から電池解析へのミュオン利用例などが紹介されました。2日目は、施設と産業界がおこなっている「イノベーションの共創」のための活動事例として、中性子ビームライン4本について施設利用の現状と産業利用成果報告が行われ、さらにその推進に向けた意見をいただき議論を深めました。ポスターセッションでは、MLF以外の量子ビーム関係施設SPring-8などとの協力発表が行われ、活発な質疑応答がなされました。
■J-PARCワークショップ「CSNS-J-PARC Collaboration Workshop on Neutron Instrumentation」
(7月22~24日、J-PARC)
7月22日から3日間にわたり、中国核破砕中性子源(CSNS)と中性子実験装置に関するJ-PARCワークショップを開催しました。CSNSは、2017年から稼働を開始し、現在50kWで3台の中性子実験装置を運用しています。今回、CSNSからF.Wang、T.Liang両副施設長他、線源及び装置関係の研究者8名が来訪し、MLFの中性子実験装置担当者とそれぞれの施設の実験装置の現状や今後の整備計画等について情報交換を行いました。T.Liang副施設長がCSNS施設の現状を報告し、続いて運転中の装置及び建設が進められている装置についてそれぞれの担当者から紹介があり、初日にはMLFの見学も行われMLF実験装置担当者の説明に対して活発な質疑応答がありました。最終日には、将来の研究開発協力の可能性について議論が行われました。
■第30回J-PARCハローサイエンス 液体金属が加速器と原子炉をつなぐ「-加速器駆動システムで原子炉のゴミを減らす-」
(6月28日、東海村 産業・情報プラザ「アイヴィル」)
原子力発電により発生する放射性廃棄物を分別(分離)して上手に少なくする処理(核変換:より半減期が短い物質に変える)ができれば、廃棄物処分はずっと楽になります。J-PARCでは、核のゴミから分離した放射性物質を、加速器を使って核変換する加速器駆動システム(ADS:Accelerator-driven System)の技術開発を進めています。今回は3回目として、ターゲット技術開発セクションの佐々敏信リーダーが、“これまでのおさらい”とともにADSの「冷却材」であり「中性子生成ターゲット」である液体金属の特性とその利用技術について解説しました。講演では、液体金属を電磁力で駆動する電磁ポンプの原理などについて簡単な実験を交えた説明がありました。加えて、ベルギーでADS開発計画が立ち上がったことが紹介されました。一般の方の関心も高く、リピーターの方も多数来場されました。
■GSAでJ-PARCブース出展(7月13~14日、飛騨市神岡町・神岡公民館)
ジオスペースアドベンチャー(GSA)はスーパーカミオカンデ(SK)などの見学ツアーをメインに活動しています。飛騨市民らのボランティアが運営し、毎年7月に2日間にわたり池ノ山の神岡鉱山の採掘跡地を活用して設置された東京大学宇宙線研究所施設などでツアーが開催されています。ツアー参加者は、普段は立ち入ることのできない坑内の研究施設で歴史を学んだり、鉱石を採掘する重機の実演を見学したり、ニュートリノについて学んで理解を深めています。毎年各日400名の募集枠に約2倍の応募が全国各地から寄せられる関心の高さがうかがえるイベントです。J-PARCは、SKに向けてニュートリノを発射してニュートリノ研究を進めるT2K国際共同実験※の一翼を担っています。J-PARCセンターは2年前からこのイベントに参加し、今年も広報セクションの坂元眞一科学コミュニケーターら4名のスタッフが、J-PARCのPR活動を展開しました。ポスター、加速器の映像の上映、模型展示に加え、磁石を使って鉄球を加速し、原子核に見立てた小さな鉄球やフェライト磁石球のかたまりに当てるガウス加速器の実演で、ニュートリノなどの二次粒子生成のイメージを理解してもらいました。また、ひだ宇宙科学館カミオカラボでの同時開催イベントで両日各2回行われた、T2K実験についての坂元氏のサイエンストークでは多くの人が興味深く聞き入り、中にはニュートリノ振動のメカニズムなどについて、専門的な質問をする参加者もみられ、いずれも好評を博しました。
※「東海から神岡(Tokai to Kamioka)」でT2K実験という。
■日立市「エコフェスひたち2019」(7月20日、日立シビックセンター)
J-PARCセンターは、7月20日に日立シビックセンター・新都市広場・マーブルホールを会場に開催された、「エコフェスひたち2019」にブースを出展しました。エコフェスひたちは、環境に配慮した取組みを行う企業の製品や技術の紹介、市内で活躍している環境団体の活動内容の紹介などを行う茨城県内最大規模の環境イベントです。現在、J-PARCのMLFでは中性子利用研究などが盛んに行われており、エコで高性能なタイヤや蓄電池の開発が企業により進められています。ブースでは、広報セクションのスタッフに加え齊藤直人センター長らが、ポスターなどによるJ-PARCの研究紹介、シンクロトロン加速器の模型による加速器の説明、製品化されたエコタイヤの展示、ガウス加速器の体験実演などを行いました。あっという間に凄いスピードになる鉄球に、子供のみならず大人からも歓声が上がりました。
■ご視察者など
7月23日 大子町長
7月25日 文科省 村田 善則 研究振興局長、樋口 晋一 素粒子・原子核研究推進室室長 他