トピックス

2019.03.01

J-PARCの研究者が高エネルギー加速器科学研究会奨励会の西川賞、熊谷賞をW受賞

J-PARCセンター加速器ディビジョンの發知英明JAEA研究主幹は、平成30年度の高エネルギー加速器科学研究奨励会・西川賞を受賞しました。この賞は、高エネルギー加速器ならびに加速器利用における実験装置の研究において、独創性に優れ、かつ論文発表され国際的にも評価の高い業績をあげた研究者・技術者に贈られるものです。今回受賞対象となった研究課題は「J-PARC_RCSにおける大強度陽子ビームのビーム力学的研究とビームロスの低減」です。今回の受賞はRCSにおいて、精度の高いビームシミュレーションを実現したこと、また、それを用いたビーム力学的研究により、極限まで低減されたビームロスで1MW加速を達成したことなどが高く評価されたものです。

また、元日立金属㈱で現在KEK協力研究員の吉沢克仁氏は、「高周波用磁性材料の開発による加速器科学への貢献」で、熊谷賞を受賞しました。同賞は、研究開発など長年の活動を通じて、加速器や加速器装置への顕著な貢献が認められる企業の加速器関係者に贈られるものです。陽子シンクロトロンではビーム加速に伴い、加速周波数も変化させる必要があり、従来の軟磁性材料では高周波磁気特性が十分ではなく、特にJ-PARCの大強度陽子加速を実現するためには高い透磁率を有する新しい材料が必要でした。吉沢氏は、日立金属 (株) に在籍し、長年にわたって磁性材料の開発などに従事し、ファインメットと呼ばれるFe系ナノ結晶軟磁性材料を開発しました。これを加速空洞の材料として利用することで、コンパクトで性能の高い空洞を開発することができ、J-PARCシンクロトロンにおける1MWの陽子ビーム加速の達成に多大な貢献をしたことが認められたものです。
topics190301_01.jpg.alt