専門用語集 【 さ行 】

用語解説

【 あ 】  【 か 】  【 さ 】  【 た 】  【 な 】  【 は 】  【 ま 】  【 や 】  【 ら 】  【 わ 】

  

用語の後ろについている分類は、それぞれ

(※加):加速器研究及び施設
(※物):物質・生命科学研究及び施設
(※素):素粒子・原子核研究及び施設
(※換):核変換研究及び施設
(※他):その他の関連用語
を表す。

  

【 さ 】

  

  • 最急降下法(※物)

 最急降下法は、関数の傾きのみから、関数の最小値を探索する連続最適化問題の勾配法のアルゴリズムの一つです。勾配法としては最も単純であり、直接・間接にこのアルゴリズムを使用している場合が多くあります。

 ※ 2022/4/4公開のプレスリリース文を引用。

  • 再処理(※換)

 原子炉で使用した核燃料の中には、燃え残り(核分裂を起こさなかった)のウランや新しくできたプルトニウム等、核燃料として再び利用できるものと、ウラン等が分裂してできた核分裂生成物が含まれている。これらを化学的な方法により、再び核燃料として利用できるウラン、プルトニウムと、高レベル放射性廃棄物に分離する作業のこと。

  • 三次元画像再構成(※物)

 イメージング検出器により複数の異なる条件 (角度) で得られた像を組み合わせて三次元像を再現する手法。本研究ではMLEM (Maximum Likelihood Expectation Maximization) と呼ばれるSPECTで実際利用されている方法を分析に適用した。

 ※ 2022/4/26公開のプレスリリース文を引用。

  • 残留応力(※物)

 材料に外力を加えて変形させ、その外力を取り除いた後にも材料内部に残る力。材料の亀裂や破壊の原因となる。ミクロ的には、X線や中性子線などを利用して材料の原子配列の乱れを調べることで、残留応力を計測できる。

 特に中性子はX線に比べて透過能力が高いため、材料内部の残留応力を計測することができ、残留応力を詳細に調べることで、構造物の非破壊検査や、高品質構造材料開発など、産業利用分野での応用が期待されている。

  

【 し 】

  

  • 磁気スキルミオン(※物)

 物質中には数多くの電子が存在しており、小さな磁石としての性質 (磁気モーメント) を持っています。電子の磁石の向きが一方向に揃った物質が通常の磁石 (強磁性体) です。一方、固体中の電子の持つ磁気モーメントが渦状に配列することがあり、この渦状の磁気構造体を「磁気スキルミオン」と呼びます。

 ※ 2022/3/30公開のプレスリリース文を引用。

  • 磁気ブラッグピーク(※物)

 中性子散乱では、原子核による散乱だけでなく、局在した電子スピンの磁気モーメントにも散乱され感度をもちます。結晶格子中の磁気モーメント (スピン) の配列により、ブラッグの散乱条件を満たす散乱ピークを磁気ブラッグピークと呼びます。

 ※ 2022/3/29公開のプレスリリース文を引用。

  • 自己拡散係数(※物)

 分子やイオンが熱運動によって移動する速さを表す量です。

 ※ 2022/7/7公開のプレスリリース文を引用。

  • J-PARC(ジェイパーク)(※加、※物、※素、※換)

 J-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)は、日本原子力研究開発機構(JAEA)と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で建設・運営を行っている最先端科学研究施設。

 茨城県東海村のJAEA原子力科学研究所内、約65haの敷地に3台の大型陽子加速器と各種の実験研究施設が設置されている。加速器で光速近くまで加速された大強度陽子ビームを、標的である金属や炭素などの原子核と衝突させて、原子核破砕反応により大量の中性子や中間子、ミュオン、ニュートリノなどの粒子を発生させる。実験研究施設ではこれらの粒子を利用して原子や原子核の世界を調べ、最先端の原子核・素粒子物理研究や、タンパク質の構造解析や材料研究、核変換技術研究などが行われている。

  • J-PARCミュオン科学実験施設MUSE(※物)

 茨城県那珂郡東海村に設置された大強度陽子加速器施設 (J-PARC) 物質・生命科学実験施設 (MLF) 内のミュオン施設。MUSEでは世界最高強度のパルス状のミュオンビームが利用可能である。

 ※ 2022/4/26公開のプレスリリース文を引用。

  • JRR-3(ジェイアールアール3)(※物、※他)

 日本原子力研究開発機構原子力科学研究所内にある研究用原子炉。我が国初の国産研究炉として1962年に初臨界を迎えたが、1985年より高性能化のための改造工事を行った。改造後の原子炉は1990年の初臨界を経て最高熱出力20MWで運転を開始した。

 我が国で最も強力な中性子を発生する研究用原子炉として、微量元素分析や中性子構造解析、ラジオグラフィや即発ガンマ線分析などの研究が行われているほか、大口径(直径150mm)高性能シリコン半導体の製造、がん治療などに使用する医療用アイソトープ(イリジウム192、金198など)の製造にも利用されている。

 中性子利用ビームポートは炉室内に7本、ビームホール内に5本設置され、それぞれに計測・実験装置が設置されている。最大熱中性子束は3.0×1018m-2・秒-1、炉室内熱中性子導管端熱中性子束は1.0×1013m-2・秒-1、ビームホール内熱中性子導管端熱中性子束は1.2×1012m-2・秒-1、同冷中性子束は2.0×1012m-2・秒-1。運転は1サイクル26日間で年間6~7サイクル運転する。

  • 時間積分強度(※加)

 ビーム強度を参照。

  • 磁気構造(※物)

 物質の中に含まれる磁性元素は磁石の性質を持ち、その磁石の位置と方向や向きが結晶の中でどのようになっているかを磁気構造と呼ぶ。磁気構造を決定するためには中性子散乱が唯一の方法である。

 ※ 2022/5/15公開のプレスリリース文を引用。

  • 四重極電磁石(※加)

 N極、S極それぞれ2つずつ、合計4つの磁極を有する電磁石。加速器で粒子ビームを細く絞るために使われる。

 粒子ビームは同じ電荷(陽子ならばプラス、電子ならばマイナスの電荷)を持つ粒子が数兆個も集まったバンチ(塊)となっているため、それぞれの粒子が電気的に反発し合って発散(広がる)してしまう性質がある。またビームは加速中あるいは輸送中にも発散する傾向にある。そのままでは発散した粒子が真空ダクトに衝突して消滅する、あるいは機器を損傷させてしまう恐れもある。

 そのためビームの発散を防ぎ、ビームを中心軌道周辺の狭い空間に保持するため、電磁石の磁力を利用して粒子ビームを中心に集める働きをする電磁石が四極電磁石である。カメラで言えばレンズのような働きをする。この磁石は中心から遠ざかるに従って磁場が強くなるように製作されているため、発散して中心から外れた粒子をビーム軌道中心方向へ曲げて集めることができ、ビームを細く絞ることができる。

 J-PARCでは、3GeVシンクロトロンに60台、50GeVシンクロトロンに216台の四重極電磁石が設置されている。

  • CT(※物)

 Computed Tomographyの略で、調べたい対象に様々な方向からX線を当てて、方向によるX線の吸収具合の違いを調べ、これをデータ処理することで立体的な画像を再構築する方法。物質中の密度 (原子番号) により画像上では濃淡が得られ、物質内部の情報が得られる。

 ※ 2022/4/26公開のプレスリリース文を引用。

  • CP(シーピー)対称性の破れ(※素)

 物理現象において電荷(プラスとマイナス)を反転させる変換をC(Charge)変換、空間的に反転させる(鏡に写してみた状態)変換をP(Parity)変換と呼び、両者を合わせてCP変換と呼ぶ。ある物理現象とそれをCP変換した現象との間に違いがあることをCP対称性の破れと呼ぶ。

 具体的には、粒子と反粒子のふるまいの違いから宇宙創生の理由を説明する。物質を構成する粒子(陽子や電子など)には、必ず反粒子と呼ばれるものが存在する。陽子と同じ性質を持っていながら、プラスではなくマイナスの電荷を持つ反陽子があり、電子に対しては陽電子が存在する。しかしその反粒子の数は、粒子に比較すると極端に少ない。

 物理の理論では約137億年前のビッグバンによって生まれた宇宙には、粒子と反粒子が同じ数だけ存在したことになる。しかし粒子と反粒子は出会うと光となって消滅してしまうので、もし本当に同じ数だけ存在したのであれば、宇宙は誕生とともに光となって消滅したはずである。しかし実際には反粒子がほとんど存在せず、粒子だけが残った宇宙が創られた。これは粒子と反粒子の間のCP対称性が破れているからに他ならない。CP変換は粒子と反粒子を入れ替える変換となるため、CP対称性の破れを調べることで現在の宇宙では反粒子、そして反粒子から作られる反物質がほとんど存在しない原因が明らかになると考えられている。

 これに関する理論「小林・益川理論」を発表した小林誠博士、益川敏英博士は2008年にノーベル物理学賞を受賞した。J-PARCでは原子核・素粒子実験施設でK中間子やニュートリノを利用してCP対称性の破れに関する研究を行い、より完全な理論の構築を目指す。

  • シャッター(※物)

 中性子ビームラインの上流部に設置されている、重さ約40トン、厚さ約2mの鉄製の仕切り板。

 J-PARCの核破砕中性子源では、陽子ビームが標的に衝突する度に中性子が発生しているが、中性子ビームラインで実験試料を交換する場合などは、中性子の供給を遮断しなければならない。シャッターを閉めることで、ちょうど水道の蛇口を閉めるように、ビームラインに供給される中性子を遮蔽することができる。シャッターには中性子を通す孔が開けられており、シャッターを上下させてこの孔をビームラインと同じ高さにすることによって、その孔をすり抜けた中性子をビームラインに供給するようになっている。

 またシャッターの開閉により、1本1本のビームラインが独立に実験できるようにもなっている。

  • 情報担体(※物)

 メモリにおいて情報の保持、書き込み、読み出しができる構造や状態を「情報担体」と呼びます。磁気スキルミオンの有無が1ビットの情報量に対応するため、磁気スキルミオンの高密度化によって小型で大容量なメモリを実現できる可能性があります。

 ※ 2022/3/30公開のプレスリリース文を引用。

  • 収束ガイド管(※物)

 低エネルギー中性子を反射させる中性子ガイド管をテーパー状(弧を描くように曲げた状態)に配置し、中性子を反射させて収束させ、中性子強度を高めるための機器。

  • 使用済(核)燃料(※換)

 原子炉で核燃料として使用され、規定の燃焼度に達した後に原子炉から取り出された核燃料をいう。

  • 処分(※換)

 放射性廃棄物を環境汚染が生じないような状態で環境中へ放出、埋設することを処分 (disposal)という。(※下記「処理」を参照)

  • 処理(※換)

 放射性廃棄物を処分できる状態にする工程、あるいは安全に貯蔵できる状態にする工程を処理(treatment)という。(※上記「処分」を参照)

  • 真空チェンバー、真空ダクト(※加)

 粒子(陽子や電子など)ビームは、空気中では酸素や窒素等と衝突して散乱され、やがて消滅してしまう。そのため加速器やビーム輸送路などでは、ビームの進行する領域を真空にすることが必要である。金属やセラミックで製作した、気密性に優れた容器(チェンバー)や細長い筒(ダクト)の内部を高真空(スペースシャトルが飛行する宇宙空間と同じ程度の真空度)に保ち、窒素や酸素と衝突して粒子ビームが消滅することを防いでいる。この容器や筒を真空チェンバーや真空ダクトと呼ぶ。

  • シンクロトロン(※加)

 陽子等の荷電粒子を円形軌道に保って、高周波電場を使って加速する装置。電磁石を軌道部分にリング状に配置し、軌道の一部に置かれた高周波を利用した加速空胴で陽子などを加速する。

 加速空胴を直線に並べたリニアックでは、陽子などは加速空胴を1回しか通過しないため、高エネルギーまで加速するためには数多くの加速空胴が必要になり、装置は延々と長くなってしまう。シンクロトロンでは、円形軌道に沿って陽子などを周回させることで加速空胴を何度も通過させ、その度に徐々に加速していく。J-PARCのシンクロトロンでは、陽子を軌道に沿って曲げるための偏向電磁石と、発散する陽子を絞るための四重極電磁石などの数多くの電磁石が適切に配置され、陽子は一定の円形軌道を周回している。

 ただし、陽子は加速される度にエネルギーが上がり(速度が速くなり)、軌道半径が大きくなってしまう。そこでシンクロトロンでは、陽子のエネルギー(スピード)に合わせて電磁石の磁場を強くしてさらに強力な力で曲げることで、陽子が常に一定の円形軌道を通るように工夫されている。陽子のエネルギーと電磁石の磁場の強さを同期(シンクロナイズ)させることから、シンクロトロンと呼ばれている。

 J-PARCでは、1周約350mの3GeVシンクロトロンでは0.04秒間に約14600回、1周約1600mの50GeVシンクロトロンでは3.64秒間に約40万回、陽子が軌道上を周回して、所定のエネルギーまで加速される。

  

【 す 】

  

  • 水素吸蔵合金(※物)

 パラジウム、チタンやニッケル、鉄、マンガン系の合金で、水素を大量に吸収し貯蔵する性質を持っている金属。吸蔵できる量がその金属の固体容積の1000倍にも達するものもある。水素の安全な貯蔵や運搬に有効なため、将来のエネルギー源として期待される水素電池(燃料電池)や水素燃料貯蔵に利用することが考えられる。

 J-PARCでは、中性子やミュオンが水素に対する感受性が高い(X線よりもよく観察することができる)という性質を利用して、水素吸蔵合金の物性や原子構造を明らかにし、実用化に向けた研究を進めている。

  • 水素強制循環方式(※物)

 核破砕中性子源のモデレータに水素を供給する方法には、強制循環方式と自然循環方式の2つがある。強制循環方式ではポンプによって水素を送り出し、中性子源中心部のモデレータへと連続的に水素を循環させる。一方、自然循環方式ではサイフォンの原理を利用する。つまり中性子源外部で水素ガスを冷却し、液化した水素が重力によりモデレータ内に溜まる。

 J-PARCの核破砕中性子源では、モデレータ部の発熱が大きく、連続して除熱する必要があるため、強制循環方式を採用している。

  • ストレンジクォーク、ラムダ粒子、グザイ粒子(※物)

 クォーク3つからなる陽子・中性子の仲間の粒子(バリオンと呼びます)は他にもたくさん存在することが分かっています。第3のクォーク ストレンジ(s)も考えると、ラムダ粒子(uds)、グザイマイナス粒子(dss)、グザイゼロ粒子(uss)といった粒子などもあります。グザイと名の付く粒子には、ストレンジクォークが二つ含まれます。sを一つ持つ中間子K-は(us)で、uはuの反クォークです。本実験で用いるグザイマイナス粒子は、K-ビームがダイヤモンド標的中の陽子と反応することで、K+(us)中間子とともに次のように生成されます。

 ※ 2020/11/19公開のプレスリリース文を引用。

  • スーパーカミオカンデ(※素)

 東京大学宇宙線研究所が、岐阜県飛騨市神岡町の神岡鉱山の地下1000mに建設した、巨大なニュートリノ観測装置。1996年4月から観測を開始し、ニュートリノの観測を行っている。

 スーパーカミオカンデは、直径、高さとも約40mの巨大な水槽で、約5万トンの超純水を蓄え、水槽の周囲に約1万1千本の微弱な光を感知できる光電子増倍管を配置している。水中でニュートリノが稀に水の電子と反応すると微弱なチェレンコフ光を放出するが、その光を光電子増倍管で検出することで、ニュートリノの種類や飛来した方向、エネルギーなどを測定することができる。

 J-PARCでは、このスーパーカミオカンデと共同してT2K実験を行っており、ニュートリノの謎を探る研究を進めている。

  • スピン(※物)

 陽子や中性子、ミューオンなどの粒子はスピンと呼ばれる磁石のような性質を持っており、スピンの向きが揃うことを偏極と呼びます。

 ※ 2020/7/15公開のプレスリリース文を引用。

  • スピン・格子結合(※物)

 物質を構成する結晶格子の各頂点に位置する原子には、電子スピンが局在して磁気モーメントをもつことがあります。そのスピンと格子の結びつきをスピン・格子結合と呼びます。

 ※ 2022/3/29公開のプレスリリース文を引用。

  • スピンゼーベック効果(※物)

 電子温度計に使われる熱電対のように、温度勾配によって電圧が生じる現象をゼーベック効果と言います。この効果のスピン版が、2008年日本の研究グループにより白金電極と磁性体の組み合わせによって実現できることが報告され、これをスピンゼーベック効果と呼びます。

 ※ 2022/3/29公開のプレスリリース文を引用。

  

【 せ 】

  

  • 静電力(※物)

 電気的に同じ性質を持った原子が近づくと反発しあい、異なる性質を持った原子が近づくと引き合います。この時に発生する電気的な力を静電力と呼びます。タンパク質分子中では、プラスの電荷をもつ塩基性アミノ酸とマイナスの電荷をもつ酸性アミノ酸との間で形成される塩橋や、水素結合なども静電力が関係しています。(※物)

 ※ 2022/5/27公開のプレスリリース文を引用。

  • 生物単結晶回折装置(※物)

 生体物質や有機物質などの単結晶構造を反映した中性子の干渉パターンを解析することにより、蛋白質や有機化合物の原子配列情報を解析する装置。セプタム電磁石 (※加)

  • セプタム電磁石(※加)

 シンクロトロン等の円形加速器へ陽子ビームを入出射する時は、ビームの入射軌道や出射軌道と、シンクロトロン中を周回しているビームの軌道が非常に近接しているため、周回ビームに影響を与えないように入出射ビームのみコントロールすることが必要である。セプタム電磁石は、周回ビームに影響を与えないように入出射ビームだけを曲げることができるように製作された、特殊な偏向電磁石である。

  • 線形加速器(リニアック)(※加)

 線形加速器(リニアック;Linear Accelerator、リナック、ライナックなどとも言う)は、加速空洞を直線状(リニア)に並べ、高周波電場を使って電子や陽子などの荷電粒子を直線的に加速する加速器の総称。この方式では定常的にビームを取り出せるので、多くの粒子(大電流)の加速に適している。

 しかし、粒子は特定の加速空洞を1回しか通らないために、高エネルギー(粒子のスピードをさらに高めること)にするには数多くの加速空洞が必要となり、長い装置が必要になる。このため、さらに高エネルギーに加速するためには、同じ加速空洞に粒子を何度も通しながら加速することができるシンクロトロン(円形加速器)が用いられる。

 J-PARCのような高エネルギー大電流加速器の設計においては、直線加速器(リニアック)とシンクロトロンを組み合わせ、効率的な加速を行う。

  • 全固体電池(※物)

 通常、正極と負極の間をイオンが行き来する際の媒質となるのは電解液で、電極からイオンが溶け出し、電解液の中を移動し、反対の電極に到達する。一方、特殊なセラミックスは固体であるにも関わらず内部をイオンが移動することが可能で、これを電極でサンドイッチすることによって電池として動作させることができる。この、セラミックスを用いた電池は電解液を用いないことから「全固体電池」と呼ばれており、高い安全性や高速充放電、劣化しにくいなどのメリットから次世代電池の有力候補として注目を集めている。

 ※ 2020/10/26公開のプレスリリース文を引用。

  • 専焼高速炉(※換)

 マイナーアクチノイド (MA:Np、Am、Cmなど)を主成分とした核燃料で炉心を構成した高速炉。臨界調整のために初装荷燃料にPuを添加するが、第2サイクル以降は燃焼減損分のMAの追加だけで運転できる。U、Puからの高次のアクチノイド生成がほとんどないために高効率の核変換処理が可能となるが、遅発中性子割合が小さいことからくる制御上の問題がある。後者の問題の回避のためには、遅発中性子割合増大のために炉心にU-235を添加する、あるいは、加速器駆動型未臨界炉とする、といった解決法がある。

  

【 そ 】

  

  • 相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ(※物)

 撮像素子に相補型金属酸化膜半導体(CMOS)を用いたデジタルカメラです。従来は長時間の露光による高画質な撮像ができる電荷結合素子(CCD)を撮像素子として用いたデジタルカメラが一般に使用されてきましたが、高速での読み出しが可能な低ノイズのCMOSカメラが開発されたことで、光増幅器と組み合わせることで微弱な光からも高画質な画像を高速で取得できるようになりました。

 ※ 2022/7/12公開のプレスリリース文を引用。

  • ソフトマテリアル(※物)

 金属、半導体のような硬い物質に対比して柔らかい物質。代表的なソフトマテリアルとしては、高分子(プラスチック)、ゴム、高分子ゲル、液晶などがある。繊維や生体膜・DNAなどの生体分子もソフトマテリアルに含めることもある。

  • 素粒子(※素)

 物質を構成する最も基本的な粒子を素粒子という。クォークや電子、ニュートリノなどが含まれる。

  • ソレノイド電磁石(※加)

 約6テスラ(日本付近の地磁気の約1万5千倍)の高い磁場を6m程度の長さにわたって発生させ、π中間子(パイオン)を飛行中にミュオンに変換する事により、ミュオンを効率良く発生し輸送するための装置。超伝導を用いたソレノイドコイル電磁石が作る磁場の閉じ込め効果を用いる。