■ J-PARC News 第157号より       (2018/05) 
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●MLFでビーム強度500kW運転を再開 (4月19日) 
  物質・生命科学実験施設 (MLF) は、4月19日にビーム強度を400kWから500kWに上げた運転に移行しました。2015年、MLFでは500kWのビーム運転中に、標的の保護容器を冷却する水流路の溶接個所に不具合が発生したため、運転を一時停止。低出力運転用の予備容器を使って運転を行う傍ら、構造・製作方法・検査手法を見直して堅牢性と信頼性を向上させた新しい標的容器を完成させました。昨年10月からビーム強度300kWでの運転を開始し、容器の健全性の確認を行いながら順次出力を増強し、現在の出力に至ったものです。

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●アパタイト型イオン伝導体の精密な結晶構造を決定し、高イオン伝導度の要因解明に成功
- 単結晶中性子・X線回折により、格子間酸素という従来の定説をくつがえす -  (4月27日、プレス発表) 
  東京工業大学の藤井孝太郎助教らの研究グループは、J-PARCセンター中性子利用セクションの大原高志氏 (原子力機構) らとの共同研究により、アパタイト型の酸化物イオン伝導体が示す高いイオン伝導度の要因を初めて原子レベルで明らかにしました。今回、単結晶を用いた中性子回折 およびX線により、これまで考えられていた格子間酸素の存在が否定され、格子内に存在する酸素の特定の方向への広い分布が高イオン伝導度の構造的要因であることを解明しました。このイオン伝導体は固体酸化物形燃料電池、センサー、酸素分離膜等に応用ができる材料で、高効率ながら低予算で安全性の高い次世代エネルギー源を開発するのに役立つことが期待されます。本成果は、英国王立化学会が発行する材料科学の国際誌J. Mater. Chem. Aに2018年4月16日に掲載されました。
  ※MLFの特殊環境微小単結晶中性子構造解析装置「SENJU」 (BL18) を使用。
  詳細はJ-PARCホームページをご覧ください。
http://j-parc.jp/ja/topics/2018/press180427.html

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●J-PARC中間評価委員現地調査の実施 (4月25日) 
  4月25日、大強度陽子加速器施設評価作業部会の委員8名によるJ-PARCの現地調査が行われました。委員らは、齋藤直人J-PARCセンター長から施設概要の説明を受けた後、MLF、ニュートリノモニター棟及び監視室、ハドロン実験ホール、50GeVシンクロトロン (MR) の出力増強のため増設された電源棟、核変換技術研究のための試験装置について各施設の責任者らの説明に耳を傾けながら視察して回りました。
  ※文部科学省では、研究及び開発に関する評価指針に基づき、5年ごとを目安にJ-PARCに対して中間評価を実施しています。

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●平成30年度第1回MLF全体会議を開催 (4月24日、いばらき量子ビーム研究センターIQBRC) 
  4月24日、MLFに関わるJ-PARCセンター構成員、総合科学研究機構 (CROSS) 職員、茨城県の実験装置担当者など、約100名が一堂に会して、MLF全体会議を開催しました。本年度から意見交換や相互理解をより深めるために、会議の開催を増やすことにしました。会議では各装置担当者からそれぞれの活動内容の報告があり、活発な質疑応答が行われました。全体の意見交換では、働き方改革について相澤一也 物質・生命科学副ディビジョン長からの対応案の提起があり、率直な意見が多数述べられました。

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●T2K実験コラボレーションミーティング (5月8〜12日、IQBRC) 
  T2K実験は、J-PARCから打ち込んだニュートリノを岐阜県神岡町にある東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデ (SK) で観測し、ニュートリノ振動と呼ばれる現象を精密に調べる実験です。この実験によって、ミュー型ニュートリノが電子型ニュートリノに姿を変える「電子ニュートリノ出現現象」が世界で初めて確認されました。現在は、ニュートリノと反ニュートリノの振動の違いを観測し、粒子と反粒子の性質の違い (CP対称性の破れ) を検証しようとしています。今回のコラボレーションミーティングでは、2017年10月以降に取得したデータを加えた解析結果について議論が交わされました。10日の全体会議冒頭で、齊藤直人J-PARCセンター長が50GeVシンクロトロン (MR) のビーム強度増強計画などを紹介し、T2K実験代表の中家剛教授 (京大) からは6月に始まる国際会議に向けて議論が深まるよう激励の言葉がありました。また会場では、ニュートリノコラボレータ―の岩本康之介氏 (東大) がロチェスター大学より「Frederick Lobkowicz Prize」を授与されました。
  ※大学院博士課程の学生を対象に、天体素粒子物理学・高エネルギー核物理学・高エネルギー素粒子物理学の分野で、非凡な実験・研究成果をあげた人に与えられる賞。

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●第16回g-2/EDMコラボレーションミーティング開催 (5月14-17日、J-PARC研究棟) 
  J-PARCセンターが計画しているミュオン異常磁気能率/電気双極子能率の精密測定実験 (E34) を推進するためのコラボレーションミーティングが5月14日から4日間にわたって開催されました。会議には日本・韓国・ロシアなどの国際共同研究者60名が参加し、実験準備状況の報告や課題解決について議論が行われました。会議のトピックスには、米国ブルックヘブン国立研究所での先行実験やE34実験計画の立案に中心的な役割を果たしたBunce氏による新規参加者向けの入門講演や、ミュオンセクションの山崎高幸氏による物質・生命科学実験施設に建設中のミュオン実験施設Hラインの状況報告がありました。

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●J-PARCハローサイエンス「素粒子 超入門-ズバリ疑問にお答えします」 (4月27&28日、東海村産業・情報プラザ「アイヴィル」&東海村立図書館) 
  毎月恒例のサイエンスカフェ「J-PARCハローサイエンス」を、4月27日18時からアイヴィルにて、また翌日の土曜日13時30分から東海村立図書館で開催しました。参加者には常連の方も多く、今回は「素粒子 超入門」と題して、素粒子についてより全体的に理解が深まるよう、これまで触れてこなかった力 (相互作用) について、サイエンスコミュニケーターの坂元氏 (J-PARCセンター) が話しました。内容の深い話になるにつれて「ズバリ疑問にお答えします」のサブタイトル通り質疑応答が白熱し、粒子が質量をもつようになる理由について説明するなど、基礎的なことから1歩踏み込んだ内容まで紹介しました。

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●Paper Craft Work Shop (5月11日、KEK東海ドミトリー) 
 
  T2K実験コラボレーションミーティングに合わせて、11日の昼休み時間にペーパークラフト体験教室を開催しました。参加者は、トイレットペーパー芯の内側をペイントし、続いて小さくプリントされた動物などの絵をハサミで切り抜き、糊付けして完成させるミニュチアアートに挑戦しました。海外からの研究者とスタッフらが楽しい時間を過ごしました。

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●施設の状況
   (1) 物質・生命科学実験施設 (MLF) 関連では、中性子標的容器の9号機が完成し (写真左) 、MLF大型機器取扱室に保管しています。また、使用済み中性子標的容器の運搬容器も完成し、3月22日に放射化物使用棟 (RAM棟) に納入されました。 (写真中央) 
   (2) 50GeVシンクロトロン (MR) では、ビーム増強に向けて第4〜第6電源棟が増設されました。電磁石の励磁エネルギーを有効利用し、電力送電網への電力変動を抑制するため、大容量コンデンサーバンクを含む電力制御装置の整備が進められています。 (写真右) 

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●ご視察者など
 
    4月 26日  産業競争力懇談会 (COCN) 実行委員長/鞄月ナ 特別嘱託 須藤 亮氏
   
●加速器運転計画
  6月の運転計画は、次の通りです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。

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