■ J-PARC News 第137号より       (2016/09) 
●大量に塩 (えん) を含む氷の特異な構造を解明  (8月26日、プレス発表) 
  パリ第6ピエール・エ・マリ・キュリー大学のS.Klotz教授らの研究グループは、東京大学および日本原子力研究開発機構 (JAEA) J-PARCセンター、総合科学研究機構中性子科学センターとの共同研究で最大可溶濃度の塩化リチウムおよび臭化リチウム水溶液を冷却、加圧、昇温することで、リチウムイオンや塩化物/臭化物イオンを高濃度に含む氷の高圧相 (氷VII相) を合成し、物質・生命科学実験施設 (MLF) の超高圧中性子回折装置PLANETを用いてその結晶構造を明らかにすることに成功しました。高濃度に塩を含む高圧氷は、塩を含まない通常の高圧氷とは異なり、水分子の向きがほぼランダムであり、水素結合ネットワークの多くが破壊されていることが分かりました。このような構造は、他の氷の多形や水素結合性物質には見られないもので、新奇な物性を持ちうる可能性があり、物性科学や惑星科学などの広範囲の研究に影響を与えるものと思われます。詳しくは、J-PARCホームページをご覧ください。http://j-parc.jp/ja/topics/2016/Press160826.html
   


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●Third International Workshop on Technology and Components of Accelerator-Driven Systems  (9月6〜9日、水戸市・ホテル テラス ザ ガーデン水戸) 
  放射性廃棄物の安全で確実な処理・処分は、世界の多くの原子力発電導入国に共通する大きな課題の一つです。分離変換技術は、「放射性廃棄物の減容化・有害度低減」のための極めて有効な技術として、世界的に研究開発が進められています。この技術では、放射性廃棄物に含まれる物質をその特性に応じていくつかのグループに分離し、長く放射能を有する物質のグループを短寿命の物質のグループに変換して処分を容易にすることを目指しています。物質の変換には、加速器と原子炉を組み合わせた新しい原子力システム「加速器駆動システム (Accelerator-Driven System、ADS) 」が有力な候補となっており、日本原子力研究開発機構 (JAEA) をはじめ国内外でADSに対する研究開発が活発に行われています。今回JAEAは、経済協力開発機構原子力機関 (OECD/NEA) の共催により、ベルギーなど欧州諸国、中国、アメリカなど世界12ヶ国の専門家約80名を招聘し、ADSに関わる最先端の技術開発や機器開発を議論する国際ワークショップを、水戸市で開催しました。この会議は、これまでドイツ、フランスと3年毎に開催され、今回が3回目のワークショップになります。J-PARCセンターからは核変換ディビジョン・ターゲット技術開発セクションの佐々敏信リーダーがADSの開発を目指してJ-PARCで計画する核変換実験施設の概要とその取り組みを発表するとともに、実験施設の建設に必須なターゲット技術や液体金属の取扱技術、核変換用核燃料の取扱技術などの要素技術開発に関する多くの発表を行い、今後の研究開発に向けた有益な情報交換を行いました。最終日には、原子力科学研究所に設置したADS関連実験装置や核変換実験施設予定地の見学が行われ、実際の装置を前に活発な意見交換が行われました。
   

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●超低速ミュオンが拓く科学シンポジウム/新学術領域 領域会議 (8月26-27日、IQBRC) 
  物質・生命科学実験施設 (MLF) ミュオン実験エリアのUラインに整備された超低速ミュオン顕微鏡では、今年2月21日に初の超低速ミュオン発生が確認され、平成28年度前期運転終了の6月30日までに試料からのミュオン崩壊陽電子の加速に成功しています。今回、領域メンバーらが一堂に会して、これまでの研究成果を基に新しい超低速ミュオン顕微鏡の可能性について議論する公開シンポジウムを、いばらき量子ビーム研究センター (IQBRC) で開催しました。シンポジウムは、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) 物質構造科学研究所の山田和芳所長の開会挨拶で始まり、領域代表の鳥養映子氏 (山梨大学教授/J-PARC客員研究員) の全体説明、続いて4つの計画研究班報告が班リーダーのJ-PARCセンターミュオンセクションの三宅康博氏 (KEK主幹) 、同セクションの門野良典リーダー、鳥養映子氏、理化学研究所の和田智之氏らによって行われました。その後は、発表内容で分類した各セッションで、領域関係者により34件の研究成果が紹介され、活発な意見交換が行われました。また、会議に先立ち25日には超低速ミュオン実験装置のお披露目会が開かれました。
※本装置は、文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」平成23〜27年度の研究により整備されました。
   

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●加速器運転計画
  9-10月の運転計画は、次のとおりです。なお、機器の調整状況により変更になる場合があります。
   

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●第3回大型実験施設とスーパーコンピュータとの連携利用シンポジウム - 最先端電池材料 - (9月1日、東京・秋葉原) 
  SPring-8、MLF等の大型実験施設と、「京」などのスーパーコンピュータの連携利用は、実験的手法と数値シミュレーション手法の特性を相互に補い合う形で研究成果の創出につながることから、その推進は多方面から期待されています。今年は、この連携利用推進に向けたシンポジウムが、「最先端電池材料」をテーマとしてJASRI、CROSS、RISTなどの共催で開催され、この分野における連携利用のハイレベルな研究事例や今後の連携利用を見据えた研究内容が紹介されました。株式会社豊田中央研究所の杉山純研究員の講演では、「ミュオンで視る電池材料内のイオン拡散」と題した報告が行われ、MLFの超低速ミュオン顕微鏡についての紹介もありました。これら講演に先立ち、最初のセッションでは大型実験施設の現状報告が行われ、J-PARCセンターの金谷利治 物質生命科学ディビジョン長は、MLFの中性子標的容器の不具合とその対応状況、最近の研究成果などについて紹介しました。
  参加者は135名で、その中には約40社の企業からの参加者がありました。
  ※JASRI:公益財団法人 高輝度光科学研究センター、CROSS:一般財団法人 総合科学研究機構、RIST:一般財団法人 高度情報科学技術研究機構
   

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●サイエンス講座〜素粒子ニュートリノをめぐる時空の旅〜 (9月3日、17日、東海村産業・情報プラザiVil (アイヴィル) ) 
  NPO法人HSEリスク・シーキューブは、東海村が進めるTOKAI原子力サイエンスタウン構想事業などの支援活動を展開しており、今回、村民のニュートリノへの関心に応えて"素粒子ニュートリノ"をテーマとした講座を、J-PARC施設見学会を含む全4回で開講しました。今年7月に、村内で開催した東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長によるノーベル物理学賞の受賞記念講演会「ニュートリノでつなぐ宇宙と素粒子」を機に、ニュートリノのことについてもっと良く知りたいとの村民からの声が聴かれていました。講師は、J-PARCセンターの坂元眞一広報アドバイザーが務め、今月行われた2回の講座では、ニュートリノの基礎から、昨年のノーベル物理学賞のニュートリノ研究、J-PARCを使ったT2K (Tokai to Kamioka) 実験など最新の成果に至るまで解説しました。3種類あるニュートリノが、時間とともに別の種類のニュートリノに変身する「ニュートリノ振動」という難解な現象について、音叉などの実験器具を使って分かりやすく解説すると、頷く参加者が見られニュートリノへの理解を深めている様子でした。次回の講義は、T2K実験でニュートリノを生成する加速器について講演する予定です。
   

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●和紙ちぎり絵体験教室 (9月8日、原子力科学研究所 先端基礎研究交流棟) 
  平成26年度からJAEA国際室とJ-PARCセンターは、機構内の国際交流を深める場として各種体験教室を開催しています。今回は、日本古来の紙である和紙を使って、四季折々の自然、風景、風物詩を描く、和紙ちぎり絵の体験教室を開催しました。参加者は、好きな生き物や植物などの図柄を選び、いろいろな色や様々な質感の和紙を使って、色紙に作品を完成させていきます。同じ図柄でも和紙のちぎれ具合や選ぶ色の違いから、作者の個性が感じ取れました。
   

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●華道体験教室 (9月15日、原子力科学研究所) 
  原子力機構内の国際交流を深める場として行われている各種体験教室で、15日に今年度2回目の華道体験教室が開かれ、先生を含め20名が生け花を楽しみました。花材には、ゴット ドラセナ セフェアナとバラが使われました。参加者は、先生が花器に活けた見本や活け方の説明書を見ながら、先生らの指導を受け制作に励んでいました。教室には、機構内で働く職員と外国人研究者の他に、原子力人材育成センターの講義受講のために来日している海外研修生が多数参加し、和気あいあいと生け花に挑戦していました。作品が完成すると、参加者が自分の作品と一緒に、スマートフォンなどで記念写真を撮る光景があちらこちらで見受けられました。先生は、東海村国際交流協会 (TIA:Tokai-mura International Association) の方が務めました。
   

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●ご視察者など
    9月 20日  藤原崇 衆議院議員
   
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