■ J-PARC News 第28号より       (2007/7) 
●建物建設状況
(1) リニアックは、加速空洞(DTL、SDTL)の性能測定及び調整を実施中。3GeVシンクロトロンは、各種電磁石及び高周波加速空洞の通電試験を実施中。高周波加速空洞の5号機については、デジタル高周波制御装置と組み合わせて、実際の運転パターンでの通電試験を実施。また、入射部では、セラミックダクトなど真空機器の据付作業を実施中。
(2) 50GeVシンクロトロンは、レーザーを利用した電磁石の精密アライメント作業や、ビームラインの真空試験を実施中。また、ビームダクト、ベローズ組込み作業、各電磁石のケーブル接続関連作業を実施中。
(3) 物質・生命科学実験施設では、ミュオンビームライン上部遮蔽体の設置工事を開始。
(4) 原子核素粒子(ハドロン)実験施設は、ビームダンプ部のレールを設置。ニュートリノ実験施設ターゲットステーション部は、鉄筋組上げ及びコンクリート打設工事を、またディケイボリューム下流部は、基盤造成工事を実施中。

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●リニアックビームコミッショニングの進捗
 リニアックはビームコミッショニングを平成18年11月から平成19年6月29日まで、2週間(一部3週間)を1サイクルとする運転を8サイクル行い、所期エネルギーである181MeVの達成と運転時検査の合格、加速空洞に供給する高周波の電圧や位相などの運転条件の設定、3GeVシンクロトロンの試験に必要なビーム条件の確認など、予定していた試験項目を終了した。現在9月から予定している3GeVシンクロトロンのビーム試験への切替準備や保守作業を進めている。
 3GeVシンクロトロンへのビーム条件確認のための試験結果の一例を下図に示す。図はリニアック中流部からビームダンプまでのビーム電流波形を示したもので、3GeVでのビーム取り出しやシンクロトロンの高周波加速に必要なビームの無い領域を作るため、約2マイクロ秒間隔のビームを発生し加速できることを確認した。

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●3GeVシンクロトロン入射部へのセラミックダクト設置
 3GeVシンクロトロンの偏向電磁石や四極電磁石内部に用いる真空ダクトは金属の場合変動磁場により渦電流が誘起され、発熱や歪曲磁場が発生し、陽子ビーム安定性に問題が生じる恐れがある。 これらを解決するため、アルミナセラミックを使用した真空ダクトを開発した。また、大電流ビームにより誘起される電磁波を外部へ漏らさないためためPR(Periodic Reverse)銅電鋳法でダクト外表面にはストライプ形状の銅箔が形成されている。
 セラミックダクトの断面形状は殆どが円筒形だが、入射部のダクトは特殊形状となっており成形加工に困難を極めたが、R&Dを重ねセラミック焼成時の形状変化等を把握することで実機製作に成功した。

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●ミュオン標的ビームライン機器の設置完了(M2トンネル)
 ミュオン標的ビームラインの機器据付けが終了し、ビームラインの真空試験が開始され目標とする10-4Paの真空度に到達した。平成19年7月中旬からトンネル上部遮蔽体の据付けも開始された。

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●M2ライン見学会
 物質・生命科学実験施設のM2トンネルに設置されるミュオン標的ビームラインは、2004年から据付けを開始し、途中1,000トンの埋め込み鉄遮蔽体の設置をするなど種々の作業を無事に終了し7月に機器設置が完了した。 真空試験も開始され目標である10-4Paまで真空度も到達して7月半ばからは上部遮蔽体の設置工事もが開始された。上部遮蔽体設置によりM2ビームラインを上部から見ることができなくなるのため、平成19年7月17日にミュオンWG関係者、他によるM2ラインの見学会を実施した。

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●水銀ターゲット着脱遠隔操作試験(物質・生命科学実験施設)
 物質・生命科学実験施設の放射化機器取扱い室に据付けられている中性子発生装置の水銀ターゲット容器は、パワーマニピュレータを使った遠隔操作で着脱される。実機を利用した容器脱着を実施し、十分な性能を有していることを確認した。

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●日米高エネルギー物理研究計画委員会視察
 平成19年7月19日、日米科学技術協力事業において協力活動の実施及び調整を目的として組織される日米高エネルギー物理研究計画委員9名(内、海外委員7名)がJーPARCを視察した。当委員会は、昭和54年5月から活動を開始している。

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●安全大会
 安全月間である7月を迎え災害防止協議会主催のJーPARC関連工事の平成19年度安全大会が7月23日に開催され、工事関係者約300名が参加した。 田中災防協会長を進行役に、協議会副会長の蛭牟田氏の挨拶に続き、高エネルギー加速器研究機構・田中施設部長とJーPARCセンター・大山副センター長が、作業の基本に返って安全を確認し事故防止を図るようにしてくださいと安全訓話を行った。 最後に安全シュプレヒコールを田中会長の音頭で発し、大会を終了した。

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