■ J-PARC News 第22号より       (2007/1) 
●建物建設状況
(1) リニアック棟では、加速器機器などのビーム調整試験を24時間体制で実施中。3GeVシンクロトロン棟では、主電磁石電源の通電試験を実施中。3NBTトンネルでは、電磁石の通電試験、冷却装置の試運転調整、インターロックの動作確認試験を継続中である。
(2) 50GeVシンクロトロンのトンネルでは、電磁石の搬入据付・調整及びビームダクトの真空排気調整運転を継続中である。また第1・第2電源棟で電磁石用電源装置の搬入据付工事を実施中である。
(3) 物質・生命科学実験施設では、建家電気機械設備の調整試運転及び外構工事、内装仕上げ工事を実施中。実験ホール内では、中性子ビームライン遮蔽体の設置工事などを継続中である。
(4) 原子核素粒子(ハドロン)実験施設では、実験ホールの外壁仕上工事及び屋上防水工事、ホール内部ではビームライン遮蔽壁工事などを実施中。またホール付属の電源棟及び第1機械棟がほぼ完成した。スイッチヤード部では建家工事が完了し、内部では電磁石の据付工事を継続中。ニュートリノ実験施設トンネルアーク部(陽子ビーム導入部)ではトンネル工事が終了し、ターゲットステーション部では基礎掘削土留工事を継続中。

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●リニアックで181MeV達成!
 J-PARCリニアックが2007年1月24日0時53分、181MeVのエネルギーまでのビーム加速に成功した。
  リニアックはJーPARCの初段加速器であり、全長約330mの直線型の加速器。現在整備されている約120mの装置でエネルギー181MeV、平均電流200μAまで加速することを目指している。これまでの試験経過を簡単にまとめると、昨年10月から調整運転を開始し、11月21日には負イオン化したビームの加速に成功、その後ビーム試験を継続実施し12月19日にはDTL1(ドリフトチューブリニアック)による20MeV加速、翌20日にはDTL2及びDTL3による50MeV加速を確認してきた。 その加速されたビーム(ピーク5mA、20μs、2.5Hz。平均電流0.25μA)は軌道修正磁石を使わない状態でリニアック下流の0度ビームダンプへ到達、リニアックの組み立て精度(アライメント)が非常に良い事を示すものであった。年明けの1月15日からビーム試験を再開し、24日に181MeVのエネルギーまでのビーム加速に成功したものである。

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●3GeVシンクロトロンビーム出射用キッカー電磁石の据付け
 3GeVシンクロトロンのビーム取出しのためにはビーム出射用キッカー電磁石が8台使用される。これら電磁石は3台と5台が夫々に2つの真空容器(A及びBタイプ)に組込まれ、真空中での磁場マッピング試験、磁場を作っての連続通電試験及びアライメントが行われてきた。 また真空容器は外壁に取り付けられているシースヒータにより外壁温度を150℃程度に保持してのガス出しを行い、1×10-6Pa程度の真空度としている。真空引きポートは壁側、電磁石メンテナンス用の予備ポートが通路側に取り付けられている。今回これら一連の試験を済ませた電磁石(容器A及びB)についてビーム出射部への搬入・据付を終了した。

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●ニュートリノ超伝導電磁石のJ-PARCエリアへの搬入開始
 ニュートリノ実験施設建設工事では、50GeVシンクロトロンからニュートリノターゲットステーションへの陽子ビーム導入トンネルアーク部が完成した。今後、内装・空調設備等工事を進め19年度後半からトンネル内へ超伝導電磁石(ダブレットタイプ:2台の電磁石で1ユニットを構成)の搬入・据付けが開始される。 一方、超伝導電磁石については平成18年2月に完成した実機1号機に続いて、現在製作及び各種試験が進められている。昨年12月20日、各種試験を終了した超伝導電磁石1号機がHENDEL棟付属建屋に搬入された。今後平成19年度にかけて8台程度が完成し、仮置きされる。これら超伝導電磁石は平成20年度に向けてニュートリノトンネルアーク部に全14台が据付けられる。

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●ミュオン2次ビームラインに設置の間接水冷型MIC製四重極電磁石
 ミュオン実験のため、物質・生命科学実験施設の中性子源ターゲットへの陽子ビームライン上流のM2ラインにミュオン標的(グラファイト)が整備されている。M2ラインやミュオン標的直下の2次ビームライン用に設置される各種機器、電磁石等は中性子などの粒子線の照射により人がアクセスできない程極度に放射化されるため、電磁石の線材としてはMIC(無機絶縁ケーブル)ないしはポリイミド絶縁ケーブルが用いられている。 また、M2トンネル内でのメンテナンスは電磁石を含めすべてのコンポーネントを、メンテナンスエリア床レベル4-6mからビームライン床レベル0mまで、クレーンなどを用いた遠隔操作で装着・脱着を行う設計となっている。現在、これらの機器の設置が順調に進められており、M2ラインの主要な機器のほぼ80%の設置が完了した。写真1にミュオン標的周りに設置された機器を、写真2にミュオン2次ラインフロントエンドに設置する間接水冷型MIC製四重極電磁石を示す。

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●第6回J-PARC運営会議
 2006年12月22日、KEKつくばキャンパスにて第6回J-PARC運営会議が開催され
1) 平成19年度のJ-PARCセンター組織
2) 中間評価の進め方
3) 第3者中性子ビームライン設置契約
4) J-PARC放射性廃棄物の処理処の指針
5) 情報セキュリティポリシー
等に関わる審議が行われた。次回は2月20日開催の予定となった。
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●J-PARC原子核素粒子実験に関する第2回実験課題審査委員会(PAC)
 2007年1月10-12日に、50GeVシンクロトロンにおける第2回PACがKEKつくばキャンパスにて開催された。建設の進捗が報告された後、昨年夏の第1回委員会で懸案となっていた実験提案に関することがらや新たな提案について議論された。会議の中で実施されたJ-PARCサイト見学では、海外からの委員5名を含む全委員から感銘を受けたとの声が聞かれた。

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●第5回ミュオン科学実験施設委員会(MuSAC)
 J-PARCミュオン科学実験施設建設のための諮問機関であるミュオン科学実験検討委員会が2007年1月11-13日にKEKつくばキャンパスで開催された。委員会は、J. M. Poutissou委員長を始め国内外の物質科学、ミュオン科学、加速器の専門家10名のメンバーで構成されている。前回の委員会では、時間的制約のためヒヤリング出来なかったLOI(Letter of Intent)の発表が行われ、建設の進行状況等、二期計画建設の進め方等について議論が行われた。 特に陽子ビームのパルス幅がミュオン実験にとって重要であり、コミショニング時にパルス幅に留意した調整等が行われるベきであることが指摘された。またミュオン施設に産業界からの建設寄与を受け入れられるような努力をするべきであることが指摘された。
委員の紹介:Poutissou (TRIUMF)委員長、J. Akimitsu*(Aoyama-gakuin)、 Y. Hatano*(JAEA)、 R. Heffner(JAEA)、Y. Ikeda(JAEA)、 S. Ikeda(KEK)、 M. Iwasaki(RIKEN)、 Y. Miyake(KEK)、 N. Nishida(TIT)、 K. Nishiyama(KEK)、C. Petijean*(PSI)、 Ponomarev(Dubna)、Y. Yamazaki(KEK)。
(*は今回欠席の委員)

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●第8回「核破砕中性子源材料の科学と技術」研究会
 2007年1月11-12日に開催された研究会(於、JAEA原子力科学研究所JRR-1会議室)には、国内の大学、産業界を含め60名余の参加があった。核破砕材料技術研究に関る国内の研究会で、研究用ビームライン及び加速器駆動核変換システム用として開発を進める核破砕標的の他、材料の製造、測定、評価に関連する各分野専門家による最新の研究成果25件の発表があった。 初日の午前中にJ-PARCの見学会を実施し30名ほどの参加者となった。3GeV及び50GeVシンクロトロンの見学に続き、物質生命科学実験施設の中性子とミュオンターゲットステーションの見学では多数の質問が関係者に寄せられた。

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●プレス見学会開催
 リニアックは2006年10月初旬から加速器総合調整試験運転を開始し11月20日からビームの加速試験を開始した。その結果、リニアックの最も初段部分の高周波四重極型リニアック(RFQ)において、初ビーム加速に成功したことが翌21日に確認された。この成果についてJ-PARCセンターから直ぐにプレス発表され、これを機会にJ-PARCを広く紹介するため12月25日にプレス見学会を開催した。 当日は6社11名の取材があり、リニアック、3GeV棟展望台、物質生命科 学実験施設、50GeVシンクロトロン等を見学したあと、情報交流棟にて質疑応答の時間が持たれ、多くの質問が出された。

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●八間道路のお正月期間一時開放
 八間道路はJ-PARCが工事期間中ということで通行者の安全等を考えて通常は立ち入りを制限しているところであるが、お正月元旦から3日の3日間については、午前6時から午後5時までの時間帯に限り開放した。今年の正月は天候も穏やかで、村松海岸からの初日の出を見るなどのため延べ251名の通行があった。

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