■ J-PARC News 第8号より       (2005/11) 

●建物建設状況
(1) リニアック棟では加速空洞、電源装置、電磁石、真空ダクト、等の機器について搬入・据付及び組立・調整を継続中。3GeVシンクロトロン棟では配線ラックの据付け、電源装置類の搬入据付け、冷却水設備の試運転調整を進めている。また、3NBT棟では電磁石搬入・据付を進めている。
(2) 50GeVシンクロトロンではC工区のトンネル内床塗装等仕上げ工事、法面整形・吹付け工事を進めている。同トンネルD工区ではトンネル躯体の配筋型枠・コンクリート打設工事を継続中である。また周辺の関連建家の躯体工事を進めている。
(3) 物質・生命科学実験施設では、建家の壁床配筋及びコンクリート打設工事及び各階仕上げ工事等が進められている。地階部では床、壁、天井の塗装仕上げが継続中である。ハドロン実験施設では、ビームスイッチヤード建設工事等でトンネル本体及び周辺建家のコンクリート打設工事を継続中。また、同施設実験ホールでは杭打設工事が終了し掘削等土木工事を進めている。

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●ピッティング試験(圧力波緩衝試験)
 中性子源ターゲットの液体水銀は、パルス陽子ビーム入射による熱衝撃で圧力波を発生し、その容器内壁にピッティング損傷を発生させる。この損傷を抑えるには、圧力波緩衝のために水銀中に微小気泡を注入することが有効であることが分かっている。 今回、微小気泡の効果を確認するため水銀中に圧力波を負荷し、容器材料となる試料に損傷を負荷する電磁式衝撃試験機(Magnetic IMpact Testing Machine:MIMTM)に、微小気泡を注入するバブラーを取付けた水銀ループを接続した。 ここで、MIMTMで衝撃力を負荷したところ水銀中に負圧が生じ、ピッティング損傷が起きる際に発生すると考えている高周波応答を観察することが出来た。これにより、圧力波緩衝R&Dの第一歩を踏み出すことができ、今後はこれを基に実験を開始する。

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●コンクリート充填アルミニウム容器の長期養生試験
 ハドロン実験施設では、二次粒子発生標的装置(T1)直下流に設置する電磁石群が、標的で発生する大強度の二次粒子のシャワーを受けることが予想されている。 この二次粒子シャワーの大半はコリメータで取り除くことができるが、近接している磁極やビーム輸送用の真空パイプは、二次粒子による発熱での温度上昇を抑えることは非常に難しい。 そのため、これら電磁石群を約3m×3m×5.5mの大きな真空容器に収納することを検討している。電磁石群の上部には、放射線遮蔽のためコンクリート遮蔽体を使用するが、それらを真空中で使用できるように表面をアルミ金属容器で密閉する。 ここで、アルミニウム容器にコンクリートを充填したものが、長期に亘る密閉期間中にアルカリ?アルミニウム反応による容器部材の腐食を起こさない(容器中に有害なガスが発生しない)コンクリート製造方法を確立することが必要となった。 今回、長期養生試験で容器内のガス分析を行った結果、コンクリートの十分な乾燥期間が得られれば水素ガスなどの発生が抑えられることが分かった。 (特許申請中)

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●50GeVシンクロトロン用偏向電磁石第1号機の搬入
 10月26日、50GeVシンクロトロンに設置する偏向電磁石96台の内の第1号機をトンネル内に搬入した。50GeV第2搬入棟にトレーラで運び込まれた重量33トン、全長6.3mの電磁石を、建屋の40トンクレーンで搬入口より約10m下方の、トンネルへのアクセスフロアへ吊り降ろした。 地下フロアには重量物搬送専用車・エアパレットが待機し、積載位置に電磁石が降ろされた。その後、KEK職員の指揮の下、エアパレット製作や電磁石搬送請負の業者がエアパレットへの電磁石積載位置を慎重に確認し合い、また、横行走行試験等を実施した。 これら一連の作業でトンネル内への牽引搬送に問題の無い事を確認したのち、電磁石を順調にトンネル内へ搬送した。

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●50GeVシンクロトロン偏向電磁石搬入1号機のボルト締結式
 11月15日、50GeVシンクロトロン用偏向電磁石のトンネル内搬入1号機の据付記念セレモニーが実施された。 セレモニーはトンネル床面に埋め込まれたスタッドボルトに電磁石を固定するナットをソケットトルクレンチで最終締め付けするもので、戸塚機構長、永宮ディレクター、他6名により行われた。 参加者はプロジェクト関係者の他にトンネル工事や電磁石据付請負業者等を含め約70名が参加し偏向電磁石1号機の据付けを祝った。

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●第4回中性子源テクニカルアドバイザリー委員会:N-TAC4
 11月14日-16日、今年で4回目となるN-TAC4が東海で開催された。物質・生命科学実験施設について約30件の技術報告を行い、適切なコメントをいただいた。 現在、物質・生命科学実験施設の機器は工場製作を開始している段階であり、設計・製作に関する議論から施設建設後のコミッショニングやメンテナンスに対する議論に中心が移ってきた。 そして、我々が予定しているモックアップ等による実施経験を積んでコミッショニング等のシナリオを検討する作業をさらに推進するようにとの提言が あった。

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●東海村宿区懇話会
 11月10日、J-PARC建設工事に隣接する宿区や村役場の関係者の方々へ、建設進捗状況等の報告を行うと共に現場見学会を実施した。当日は、建設現場全般をバスの中からご覧頂いた。 また、建設進捗状況の報告では八間道路北側の中央地区では建物建設工事を完了し、加速器等機器の据付工事を開始したこと、4月23日に第2回植樹祭を実施したこと、 また、八間道路南側の地区では全長約1600mの50GeVシンクロトロンのトンネル全域の建設工事に着手したこと、3実験施設(物質・生命科学、ハドロン、ニュートリノ)の工事進捗具合について説明した。 また、茨城県が進めている中性子利用ビームライン2本の設置に関して、原子力機構及びKEKが協力していること等も説明し、意見交換等を行った。
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●サイエンスカフェ「J-PARCをご存知ですか?」開催
 サイエンスカフェとは「サイエンスって難しい」、「質問したいことがあるけれども誰に聞いたらよいかわからない」そう思っている人たちと科学者がコーヒーカップ片手に気軽に話し合い、 サイエンスの楽しさと社会貢献の姿を知ってもらう場で、この度、11月19日、東海駅前のテクノ交流館で茨城県企画部地域計画課主催の「J-PARCをご存知ですか?」と題したサイエンスカフェが開催された。 講演は、これまで旧原研でプロジェクトに長年携わり、J-PARC計画では原子力機構側の計画調整リーダーをしている鈴木氏が、解りやすい例えを織り交ぜながらJ-PARCについて説明し、参加者からの質問に答えた。 また、講演の合間には原子力機構内で音楽活動しているBremen(ブレーメン)のメンバーによる生演奏が行われ会場の雰囲気を和ませていた。

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